ナナンの旅 第6話「旅の仲間」

各地を旅する大道芸人ルーク

第1章:旅の始まりと出会い

第6話「旅の仲間」

魔物騒動が一段落し、リーフの街には再び穏やかな日常が戻ってきた。
市場には活気が戻り、人々は日々の生活を取り戻していた。
ナナンは事件解決に貢献したことで街の人々から感謝され、ますます街に馴染んでいった。

エリンとの親交も深まり、薬草や薬学について語り合う時間が増えた。
エリンの薬屋を訪ねることも多くなり、時には調合の手伝いをするようにまでなった。
エリンは眼鏡の奥の目を輝かせながら、薬草の効能や調合の技術をナナンに丁寧に教えてくれた。
ナナンは、エリンの博識さと、患者を想う優しい心に触れ、改めて薬師という仕事の素晴らしさを感じていた。

    ◇    ◇    ◇

ある日、ナナンはいつものように市場で絵を描いていた。
人々の活気と、色とりどりの商品が並ぶ様子は、格好の被写体だった。
筆を走らせていると、一人の若い女性に声をかけられた。
彼女は明るい茶色の髪を短く切り、動きやすい革の鎧を着ている。
腰には使い込まれた剣を携えており、旅慣れた様子だった。

「素敵な絵ですね。あなたは旅の画家さんですか?」

女性は快活に話しかけてきた。ナナンが自己紹介をすると、彼女は自分の名前はセーラだと名乗った。
彼女は各地を旅する傭兵で、この街にはしばらく滞在する予定だという。

「この街は、落ち着いた良い街ね。魔物騒動もあったようだけど、今は平和そうで安心したわ。」

セーラはそう言って、周囲をキョロキョロと見回した。鋭い視線は、まるで周囲の危険を常に警戒しているかのようだった。

その日の夕食時、ナナンは宿屋の食堂でセーラと相席になった。
食事をしながら、二人は互いの身の上話をするようになった。
ナナンは自分の生い立ちや旅の目的、そしてリーフで起こった魔物騒動について話した。
セーラは興味深そうに聞き、自身の傭兵としての経験を語った。

「私は各地を転々として、護衛や魔物退治の仕事を受けているんです。危険なことも多いけど、色々な場所に行けるのは楽しいわ。それに、強い相手と戦うのは、何よりの刺激になる。」

セーラはそう言うと、口元に挑戦的な笑みを浮かべた。
ナナンは初めて「傭兵」という存在を身近に感じた。
彼女の冒険談は、ナナンの冒険心をさらに掻き立てた。
色絵筆とリュックサックだけを携えた自分とは違う、剣と力で世界を渡り歩く生き方。
それは、ナナンにとって新鮮で、魅力的に映った。

セーラは、傭兵時代の話を続ける中で、ふと何かを思い出したように顔を曇らせた。

「そういえば… 帝国領で傭兵をしていた頃、どこかの国が遺跡の研究をしているって噂を聞いたことがあったわ。詳しいことは分からなかったけど、かなり大規模な調査隊を派遣していたみたい。一体、何を探しているのかしら…。」

ナナンは、セーラの言葉に内心ドキリとした。遺跡…。
もしかしたら、森で出会った盗賊たちが探していた「何か」と関係があるのだろうか?

    ◇    ◇    ◇

翌日、ナナンとセーラは街を一緒に散策していた。
すると、広場で大道芸をしている一人の男が目に入った。
彼は軽快な音楽に合わせてジャグリングをしたり、アクロバットを披露したりしていた。
観客は彼のパフォーマンスに釘付けになり、広場は歓声と拍手に包まれた。
特に子供たちは大喜びで、目を輝かせて彼の芸に見入っていた。

パフォーマンスが終わると、男は観客に丁寧に挨拶をし、帽子を回してお礼を言っていた。
ナナンとセーラが近づくと、男はにこやかに話しかけてきた。

「おや、珍しいお客さんだ。私の芸に見惚れてくれたかな?」

男は陽気な口調で話した。ナナンが自己紹介をすると、男は自分の名前はルークだと名乗った。
彼は各地を旅する大道芸人で、音楽と芸で人々を楽しませているらしい。
手にはカスタネットを持ち、背中にはリュートを背負っていた。

    ◇    ◇    ◇

その夜、ナナンとセーラの二人は宿屋の食堂で夕食をとっていた。
そこにルークが話し掛けてきて、話は大いに盛り上がった。

ルークの明るい性格とユーモアのセンスに、ナナンとセーラはすぐに打ち解けた。
彼もまた、旅の途中でこの街に立ち寄ったという。
セーラとはすぐに意気投合し、お互いの旅の武勇伝を語り合っていた。

「僕が昔、森で巨大グモと戦った時の話なんて、手に汗握るぞ!糸でグルグル巻きにされちゃって、もうダメかと思ったんだけど…。」

ルークは、目を大きく見開いて、当時の緊迫した状況を面白おかしく語った。
セーラも負けじと、盗賊団との乱闘劇を、臨場感たっぷりに話した。
二人はまるで子供のように、興奮気味に自分の武勇伝を語り合っていた。
ナナンは二人の話に引き込まれながらも、ルークの身のこなしの軽やかさに、ただの大道芸人ではないような印象を抱いていた。

すると、ルークが話を中断し、何かを思い出したように言った。

「そういえば…僕も、遺跡の話を聞いたことがあるぞ。確か、この辺境の国のどこかに、古代文明の遺跡があるって…。」

ルークは、顎に手を当てて考え込むように言った。

「詳しいことは知らないんだけど、その遺跡には、不思議な力を持つ遺物が眠っているらしいんだ。だから、色んな国が、その遺跡を探しているって噂を聞いたことがある。まあ、ただの噂話かもしれないけどな!」

ルークはそう言って、肩をすくめた。
しかし、ナナンはルークの言葉を聞き逃さなかった。
遺跡…。またしても、遺跡の話が出てきた。
一体、この遺跡には、どんな秘密が隠されているのだろうか?

ナナンはルークに詳しく話を聞こうとしたが、その時、宿屋の入り口が騒がしくなり、数人の男たちが血相を変えて駆け込んできた。
彼らは息を切らせ、宿屋の主人に何かを伝えている。

「大変だ!街の外で、また魔物が出たらしい!」

再び訪れた騒乱の予感と、古代遺跡の噂。
ナナンの旅は、新たな展開を迎えようとしていた。
それは、偶然の出会いから始まった、思いがけない冒険の始まりだった。

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