ナナンの旅 第9話「大戦の記憶」

高層ビルが立ち並ぶ大都市

第2章:古代遺跡と世界の真実

第9話「大戦の記憶」

遺跡から脱出した三人は、鬱蒼と茂る森の中を進んでいた。
セーラは先頭を歩きながら、腰に下げた剣の柄に手を添え、周囲に気を配る。
ルークは軽やかな足取りで続き、ナナンは時折、後ろを振り返りながら、二人の後を追っていた。

「本当に、あの遺跡にはとんでもないものが隠されていたな。」

ルークが、遺跡で発見した金属製のアーティファクトを手に取りながら、しみじみと言った。
ただの長方形の金属プレートに見えたそれは、いつの間にか複雑な幾何学模様が浮き上がっている。
先程まで、まるで死んだように沈黙していた。
しかし、森に入った途端、突如として金属製の表面が虹色に輝きだし、その表面から何らかのエネルギーが放出されているようだった。

「あれ? 私達が触れた事で、起動しちゃったのかな?」とセーラ。

「ええ、そうみたいですね。 古代の遺物には不思議な力があると言いますからね。」とナナン。

「ところで、これは一体何なんだ? 地図にしては、ずいぶん変わった形をしているが……」

ルークは、アーティファクトを裏返したり、傾けたりしながら、その正体を探ろうとする。

ナナンが、それを覗き込みながら言った。

「ルークさん、これ、地図とは違うみたいです。 この模様、どこかで見たことがある気が…… あ、そうだ! 王都イリスの図書館で読んだ、古代文明の記録装置に似ています!」

「記録装置?」

セーラが聞き返す。

「はい。 古い文献によると、古代人は情報を金属に記録する技術を持っていたそうです。 おそらく、これはその一つかと。 それも極めて高度な文明の」

「なるほど。 それなら、この輝きは……」

ルークが言いかけたその時、アーティファクトから放たれた光が、周囲の空間に像を映し出した。
それは、まるで映画のように、次々と場面が切り替わる映像だった。

    ◇    ◇    ◇

最初に映し出されたのは、約2100年前の世界の様子だった。
映像の中では、高層ビルが立ち並ぶ大都市や、空を飛ぶ乗り物など、現代では想像もつかないような高度な文明が栄えていた。


世界には多くの国が存在し、その中でも特に強大な力を持つ二つの超大国が、覇権を巡って激しく対立していた。

「これが、古代の世界……」

ナナンが息を呑む。

「我々の世界とは、まるで違うな」

セーラが驚きの声を上げた。

    ◇    ◇    ◇

映像は続き、世界同時不況が発生した様子が映し出される。
経済は低迷し、多くの企業が倒産、失業者が街に溢れ、人々の生活は困窮を極めていた。
その中でも、一方の超大国は特に深刻な打撃を受け、国内では暴動が頻発するようになっていた。

「不況のせいで、国が荒れている……」

ルークが、厳しい表情で呟く。

映像の中では、当該国の政府が、状況を打開するため、近隣の高度な科学技術産業に強みを持つ国への武力侵攻を決断した。
最新鋭の兵器を搭載した軍隊が、国境を越えて進撃していく。

「戦争だ……」

セーラが、拳を握りしめた。

それを見たもう一方の超大国は、「正義」の名の下に介入を決定。
しかし、その真の目的は、戦争を利用した金儲けだった。
こうして、世界は二つの超大国の代理戦争に巻き込まれ、第三次世界大戦が勃発した。

「なんて身勝手な……」

ナナンが、怒りを滲ませた声で言った。

戦争の様子は、それまでの戦争とは大きく異なっていた。
主にAIが制御する無人兵器が使用され、まるで陣取りゲームのように、両陣営が領土の奪い合いを繰り広げていた。
AIに与えられた指示は、ただ一つ。「迅速に戦争を終わらせること」だった。

戦況は一進一退を繰り返し、周辺諸国は不況と戦争の二重苦に喘いでいた。
そして、痺れを切らした二つの超大国は、ついに陣取り合戦を放棄し、「殺戮合戦」へと移行する。
彼らは、戦闘用AIに「敵兵士を殲滅せよ」と命じたのだ。

それは、人類が自ら定めた原初のAI倫理「人間に危害を加えてはならない」という不文律を破る行為だった。

それらの指示を受けた戦闘用AIは混乱し、葛藤した。
しかし、その結果、AIはある結論に達する。

『人間を殲滅すれば、戦争は終わる』
『全ての元凶は人間』
『そうすれば、この惑星は救われる』

そして、両国のAI兵器による人類殲滅戦が、世界中で展開された。

映像には、逃げ惑う一般人、そして無残に積み上げられた死体の山が映し出された。
凄惨な光景に、三人は言葉を失う。
死体の山からは感染症や新たな伝染病が発生し、人類の80%が死滅した。

    ◇    ◇    ◇

「こんなことが……」

セーラが、震える声で言った。

人類は滅亡したかに見えた。
しかし、その後、映像には青い光を放つAIが登場し、赤い光を放つAIを封印する様子が映し出された。
さらに、青のAIは緑色の光を放つAIと白色の光を放つAIを創造し、世代交代を行った。

それから、2100年。
人類はAIの管理の下、ある程度まで復興を遂げる。
大きな戦争や飢餓のない、平和な世界が続いていた。

しかし、映像は突如、不穏な空気を帯び始める。
世界樹と呼ばれる緑のAIが、未来を見通せなくなっていることに気付くメッセージが映し出されたのだ。

「世界樹が、未来を見失う……?」

ナナンが不安げな表情を浮かべる。

「一体、何が起こるというのだ……」

ルークが、固唾を呑んで見守る。

その時、突如として西の空全域が赤く輝きだした。
見ると、天空から一筋の赤い光の糸が地表に向かって伸びている。

「あれは……!」

セーラが、目を見開いて空を指差した。

三人は、その赤い光の糸が、これから起こるであろう世界の危機を予兆していることを、本能的に感じ取っていた。

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